ヴィチェンティーニ・アゴスティーノ

愛のしるし、自らの仕事に寄せる情熱の証しとしてヴィチェンティーニ夫妻がエンブレムに選んだのは、古くから豊穣の象徴とされてきたザクロの実でした。サクランボが実るコロニョーラの谷あいの地で農園をいとなむアゴスティーノとテレーザ夫妻の生き生きとした青い瞳を見つめたことある人間なら、彼らの燃えるような情熱を理解することはむずかしくありません。それはアゴスティーノが父フランチェスコから受け継いだ情熱であり、40年におよぶブドウ畑での仕事の中で彼らを支えてきた情熱でもあります。アゴスティーノとテレーザが経営するヴィチェンティーニ社は、コロニョーラ・アイ・コッリ村からほど近くにあります。そこは暖かく、心地よいもてなしの場であり、田舎風の広いテイスティングルームには冬場の来客のために暖炉も設けられています。歴史的なワイン貯蔵庫は、20世紀初めに建てられ、1934年に改築されたものです。また、伝統ある屋根裏部屋は、レチョートの原料となるブドウの乾燥室として用いられています。
しかし、アゴスティーノは基本的にブドウ畑第一の人間であり、彼がとりわけ愛するのはカザーレのブドウ畑です。そこではカザーレの名を冠したソアーヴェ・スペリオーレが造られています。ワイナリーの背後に広がる平地のブドウ畑からは、イッラージ城やコロニョーラ教会のすばらしい景色を楽しむことができます。総面積は4.5ヘクタール、海抜100メートル。完全に南向きで、ペルゴラ・ヴェロネーゼとグイヨ仕立てを併用し、土壌は火山性で中程度の粒径です。特に注意が払われているのは、ブドウ樹の芽や果房の配置。アゴスティーノによれば、「一番大切なのはブドウの収量の管理で、ガルガーネガは、銘醸ワインのボトルにもなれば、テトラパック用のワインにもなります」。ペルゴレッタ仕立てのブドウ樹の場合、1本あたり6つの芽が出て、合計12の果房が実りますが、摘房作業によって半分に減らされます。この厳格な姿勢のもとに、カザーレは混醸(ガルガーネガ80%、アゴスティーノが信頼する品種トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ20%)から、100%単一品種(もちろん、ガルガーネガ)へと切り替えられました。また、収穫期における大胆な決断にもためらいを見せません。たとえば、2005年には、高品質な遅摘みワインのレベルに達しなかったとの判断から、カザーレの生産は行われませんでした。10月の最終週に収穫されたブドウは、ステンレスタンク内で長期にわたって発酵させます。カザーレは、慎重なアプローチと幾度もの試飲を必要とするソアーヴェです。ゆっくりと、しかし着実に感覚特性が進化するのが特色ですが、長熟に耐えるワインという目的にかなったものとなり、果実感、まろやかさ、ミネラルのほどよい調和が実現しています。

アゴスティーノ・ヴィチェンティーニ
ヴィチェンティーニ